英語と留学

原則から考える”a”の様々な用法

以前の記事で、”a” の大原則となる意味について解説した。

“a” の使い方を考える上で一番大切なのは、

この、”a” の大原則となる意味である。

この大原則を使って、”a” の意味を色々な方向から考えてみたい。

“a” の大原則となる意味とは

簡単なおさらいだが、”a” には以下のイメージがある。

  • 他にも同じ種類のものが沢山あることが分かっていて、そのうちの1つのものについて話すこと。
  • まとまった形を持ったものであり、輪郭をひと筆書きで描けるものについて話すこと。

このイメージに当てはまる例として、

“There is an apple on the floor.”

について以前解説した。

このリンゴは世の中に沢山あるリンゴのうちの一つだし、

まとまったリンゴとしての形をもつものである。

この感覚を、他の “a” の用法にも応用してみたい。

“a/an” の大原則となる意味からの派生

“a/an” はリンゴやニワトリのような、まとまった形を持つ以外のものにも使われることがある。

  • an apple のように、一つという意味のa/an
  • a fear of heights のように、数えられない名詞について種類を意味するa/an
  • a democracy のように、国を表現する時に使われるa/an
  • an angry Aki のように、人の感情を表現する時に使われるa/an
  • a full moon のように、月の状態を表す時に使われるa/an
  • a Mr/Ms Turner のように、Mr/Ms の前について、~って名前の人という意味のa/an

これら全て、大原則となる意味を当てはめるとなぜ “a” が使われているのかを理解できる。

以下にいくつか例を挙げてみたいと思う。

満月は “a full moon”

例えば、

”今夜は月が綺麗ね”

は、英語で

“The moon is beautiful tonight.”

となる。

なぜ、この文で “the” が使われ、その後に “moon” が付いているかは、

今後 “the” について解説する時に説明したい。

というのも、 “a” と “the” を比較する、ヨコの勉強の前に、

“a” の意味をしっかりと理解するための

”タテの勉強”

がまずは必要だからだ。

(タテの勉強、ヨコの勉強についてはこちら)

さて本題だが、

例えば、

(3)今宵こよいは満月だ。

We have ( ) tonight.

①full moon ②a full moon ③the full moon ④full moons

(中略)

(3)の「満月」ですが、月を描けと言われれば「満月」「三日月」など、特徴を添えて描くのが普通だと思います。すなわち、「月」の形が様々にイメージされてるので可算(像)名詞扱いとなり、②の a full moonが適切です。

小倉弘著、冠詞かんしのトリセツ ネイティブがぶつかる冠詞かんしかべえる!、かんき出版、2020、154p

のように、

満月を英語で表現したい場合、

“a full moon”

となり、”a” で表現される。

これについて、大原則をもとにイメージで考えてみたい。

“a” の大原則となる意味は

  • 他にも同じ種類のものが沢山あることが分かっていて、そのうちの1つのものについて話すこと。
  • まとまった形を持ったものであり、輪郭をひと筆書きで描けるものについて話すこと。

ということである。

ということは、

“a” で表現される、”a full moon” は他にも同じ種類のものが沢山あるということになる。

この写真の満月も

この満月も

これも

そしてこれも、

全て満月である。

これらは大きさや色が少しずつ違って見えるが、どれも満月である。

これに加えて、満月は毎月見ることができて、

1月に見る満月、5月に見る満月という分け方もできる。

つまり、

“a full moon” で使われる “a” には、

“他にも同じ種類のものが沢山あることが分かっていて、そのうちの1つのものについて話すこと。”

という”a” の大原則となる意味が込められているのだ。

半分になった月、”半月”は?

では、これが”半月”になった場合はどうだろうか?

実は、

a half moon(半月) も、同じようにaを付けます。いくつもある月の種類の1つだからaを付けると考えてもよいです。

津守光太著、a と the の底力、プレイス、2014、34p

とあるように、

半月も、”a”で表現される。

具体的なイメージとしては、半月には色々なものがあり、

この半月も

これも、

これも、

そしてこれも、

どれも半月だ。

ただ、どれも半月ではあるものの、

みぎが欠けているものもあれば、

ひだりが欠けているものもある。

黄金色の半月もあれば、

銀色の半月もある。

このように、色々な半月があるうちの1つを意味する時に、

“a half moon”

と表現する。

ここで面白いのが、

リンゴの場合は半分になっていると、

“a piece of apple”

というのに、

半月には “a” が付いて “a half moon” と表現することだ。

多分これは、

“a piece of apple” には、

“リンゴがバラバラになったイメージがあって、バラバラになったものを集めると1つのリンゴができる”

というイメージがあるからだと思う。

半月の場合は、

”月の一時的な状態を表している” または、”いろんな種類の半月があって、そのうちの1つ”

という意識がはたらいていて、

決して、月をバラバラにしたそのうちの1つが半月なのではない。

“a fear of heights” の”a” (派生した意味:種類)

ここまで、

満月 (“a full moon”) と、半月(”a half moon”)

について解説した。

これらは、”a” の大原則となる意味、

  • 他にも同じ種類のものが沢山あることが分かっていて、そのうちの1つのものについて話すこと。
  • まとまった形を持ったものであり、輪郭をひと筆書きで描けるものについて話すこと。

に基づいているのだが、別の考え方をすると、

月の “状態” や “種類” を表現する為に、”a” が使われている

とも見える。

そう考えると、

“a fear of heights” でなぜ “a” が使われているかも理解しやすくなるのではないだろうか。

恐怖という単語は英語で “fear” だが、これは感情を表す名詞である。

そして、”恐怖” を絵に描けといわれても、描くことができないため、”不可算名詞”となる。

もちろん、怖がっている人や動物、怖いものを絵に描くこはできるが、

恐怖そのものは描くことができない。

文法書には、絵に描くことのできない名詞には、”a” はつかないとされているのに、

この “a fear of heights” では “a”が 必要なのだ。

まず、”a” を使うということは

  • 他にも同じ種類のものが沢山あることが分かっていて、そのうちの1つのものについて話すこと。
  • まとまった形を持ったものであり、輪郭をひと筆書きで描けるものについて話すこと。

という条件が必要だ。(”a” の大原則となる意味)

“fear” について考えてみると、

“怖い”というのはいろいろなものに対して抱く感情である。

高いところだったり

お化けだったり

流そうとしても流れない、用を足した後のあふれ出てくるトイレだったり

“恐怖(fear)” といっても色々なものに対する恐怖が存在する。

ということは、

“a fear of ~” ということで、

  • ”他にも同じ種類のもの(対象が異なる恐怖というもの)が沢山あることが分かっていて、そのうちの1つのもの(一つのものに対する恐怖)について話すこと。”

と考えることができる。

そして、 “of ~” で恐怖を感じるものを明らかにすれば、

“a fear of heights” や

“a fear of clogged toilets” (←これはなんか怖いと違う気がする)

のように文を作ることができる。

じゃあ、色々とあるうちの一つという点は分かったが、

  • ”まとまった形を持ったものであり、輪郭をひと筆書きで描けるものについて話すこと。”

についてはどう考えればよいかという疑問が浮かぶ。

怖い対象が加わったとしても、恐怖自体に実際の形ができるわけではないからだ。

これに対しては、”a と the の底力”という本に答えが載っていて、

aには、カタチのあるものの「リンカク」を想起させる力があります。だから、可算名詞の単数形に付けるのですが、「カタチあるもの」といっても、それは必ずしも「目に見えるカタチ」に限りません。「1つのまとまったもの」として頭の中に描くことができれば、aを付けることができます。

津守光太著、a と the の底力、プレイス、2014、62p

とされている。

例えばだが、ある女性が怖いと思うものがいくつかあるとする。

おばけや高いところ、つまったトイレや顔が近すぎるめりたんだったりと、

これらは全部怖いものではあるが、

イメージの中では下の図のように別々のものと分けることができる。

  • 他にも同じ種類のもの(fear)が沢山あることが分かっていて、そのうちの1つのものについて話すこと。

とすると、こんな感じで怖いものが分類される。

さらに、”高いところが怖い”といっても、怖さの程度には様々ある。

死ぬほど怖くて、イヤァァァって感じなのか

失神するのか。

泣いてるのか笑ってるのか分からないようになるのか。

ちょっと怖いわ、えへへってくらいなのか。

同じ “高いところが怖い” という意味のの中にも

色々な種類が含まれていることが分かる。

そうすると、

”高いところが怖い”

というのは、

”色々とあるうちの1つ”と考えることができ、

そのうちの1つ1つは、”それぞれ1つとしてまとまった別のもの”

として認識することができる。

このように考えると、

絵に描くことのできない、”恐怖(fear)”という概念も、

恐怖の対象がくっつくことで

  • 他にも同じ種類のものが沢山あることが分かっていて、そのうちの1つのものについて話すこと。
  • まとまった形を持ったものであり、輪郭をひと筆書きで描けるものについて話すこと。

という”a” の大原則となる意味を伴うようになる。

形がないものや名前につく “a”

上記の考え方ができると、

可算名詞には “a” をつけて、不可算名詞には “a” がつけれないというのは正しくないことが分かる。

どちらかというと、

“a” につく名詞は

  • 他にも同じ種類のものが沢山あることが分かっていて、そのうちの1つのものについて話すこと。
  • まとまった形を持ったものであり、輪郭をひと筆書きで描けるものについて話すこと。

という条件を満たすという考え方にたどり着く。

なので、個人的には、

「この名詞は可算名詞、これは不可算名詞」

と分別するのは、正直意味がないことだと思っている。

“a” の大原則となる意味がしっかりと分かれば、

democracy (民主主義)は「主義」、つまり、「考えの在り方」です。democracy (民主主義) そのものにカタチはありませんし、数えられません。

(中略)

民主主義が国家というカタチをもつとき、日本語では「民主主義国家」と呼びますが、「民主主義国家」は英語では、democracyにaを付けて表します。

a democracy (民主主義国家)

民主主義が国というカタチをもったものが、a democracy (民主主義国家)になるのです。

津守光太著、a と the の底力、プレイス、2014、66p

と言われた時、

「あぁ、民主主義の国は沢山あって、そのうちの1つで、まとまった形を持つものだから、a democracy と言えるんだ」

と納得できる。

そして、

“an angry Aki” や、”a Mr/Ms Turner” など、

名前に “a” が付く場合も同じで、

”あきという人は沢山の色々な感情を持っているが、その中でも”怒っている(angry)” あきを見ている。”

”Turner さんという人は世の中に沢山いるが、そのうちのとある1人”

という意味で使われていることが分かる。

いずれにせよ、数ある “a” の用法は、 “a” の大原則となる意味

  • 他にも同じ種類のものが沢山あることが分かっていて、そのうちの1つのものについて話すこと。
  • まとまった形を持ったものであり、輪郭をひと筆書きで描けるものについて話すこと。

が根幹にあると分かる。

“a” についてのタテの勉強

“a” が色々な使われ方をされているように見えても、

実はどれも意図しているところは同じ。

これさえ分かってしまえば、後は数多くの例に触れて様々な使い方に慣れるのみ。

沢山の用法について、”a” の大原則となる意味に照らし合わせていけば、かなり理解できると思う。

この、”現代英語冠詞事典”という本は、まさに例文が大量に集まった”事典”なのだが、

大量の “a” に触れるには、持ってこいの本だと思う。

“a” の様々な用法に触れてみたいという方は、

この本の内容を、”a” の大原則となる意味に照らし合わせながら読んでみて欲しい。

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まとめ

  • 色々な “a” の用法も、”a” の大原則となる意味から派生しているだけ
  • “a” を使うことで、形のないものに形を与える。
  • 大原則が理解できたら、様々な “a” の用法について考えてみよう

参考文献

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ABOUT ME
あき
あき
ハリーポッターの世界にあこがれた高校生が、大学時代と初期研修後にイギリスに留学。10年以上どうしたら英語が上達できるか考え続け、合計約3年間イギリスに滞在。ようやく自分なりの回答を見つけ、現在は次の海外進出に向けて準備中。美容皮膚科医。イギリス留学、英語について発信するのが何よりの楽しみ。