メディカル

睡眠の大切さ

皆さんは”睡眠”という行為を大切にしているだろうか?

”見たいテレビ番組があるから”

”飲み会が楽しくて、ついつい深夜まで飲み明かしてしまう”

”時間が足りないから、睡眠時間を削って勉強をしなきゃ”

中学校に入学してから約20年近く、私は

”いかに睡眠時間を減らすか”

ということばかり考えていた。

特に研修医時代というのは、

”いかに睡眠時間を削って働くか”

が美徳のような文化があった。

しかし、 Matthew Walker著の 

”Why We Sleep”

という本を読んでから、私の生活の質が大きく向上した。

一番の大きな変化は、

日中のだるさがなくなったのと、

片頭痛がなくなったことだ。

ここ1年近くのライフスタイル

ここ1年近く午前7時半に起きて仕事に行き、

帰宅するのは午後9時~9時半位という生活をほぼ毎日続けている。

帰宅してからご飯を食べ、お風呂に入ると、既に午後10時半位になることが多い。

なので、家にいる間で自分の自由時間となるのは、

実質午後10時半~午前7時半までの約9時間位である。

“Why We Sleep”を読むまでは、

好きな動画を見たり、テレビを見て、

寝るのは結局午前1時位、睡眠時間は6時間半位であった。

6時間位寝れば十分だろうと思っていたのと、

少し寝る時間を削れば、自分の好きなことができる時間が作れる、

と考えていた。

そして、仕事の疲れからリラックスしたいと思い、

大好きなウイスキーを寝る前に飲んだりした。

しかし、

毎日なんとなく体がだるく、

なにより、片頭痛がずっと続いていた。

ペインクリニックに行って、

トリガーポイント注射をしてもらったり、

呉茱萸湯(ごしゅゆとう)という漢方を飲み続けてみたりしたが、

やっぱり頭が痛いのは続いた。

痛いだけならまだしも、

眼の奥が痛くなって、

午後には吐き気が出てくるときもあった。

処方されたクリアミン(エルゴタミン)

という薬は、頭痛には劇的に聞いたが、

胃がむかむかする違和感を感じ、

ひどいときには胃炎による吐き気が出てしまうことがあった。

身体の変化

そんな時、彼女からもらったクリスマスプレゼントが、

Matthew Walker 著の

“Why We Sleep”

だった。

この本では、QOL (Quality Of Life) を劇的に向上する答えとして

”睡眠”

について詳しく解説されている。

半信半疑ではあったが、自分も一日8時間位睡眠時間を確保するようにしてみた。

もちろん、

寝る前にしていた YouTube を見る時間は削り、

寝る前のウイスキーも飲むのを辞めた。

すると、

まず始めに実感したのが、体のだるさがなくなったのだ。

そして、

ペインクリニックに行ってもなかなか改善しなかった頭痛がなくなった。

睡眠は大事と一般的によく言われている効果を実感した瞬間だった。

6時間という睡眠時間は、決してものすごく少ない訳ではないと思うのだが、

睡眠時間6時間と8時間の差はかなり大きいのだと実感した瞬間だった。

まさに、

”寝れば治る”

の本領を実感した瞬間だった。

睡眠についての考え方

自分は今まで、

”睡眠”

というのは、非常に非生産的なものだとばかり考えていた。

寝ている間は仕事や勉強、好きなことができないので、

”平日はぎりぎりまで睡眠時間を削って、

週末に沢山寝れば良い”

と考えていた。

しかし、

“Why We Sleep”

を読んでからは、

睡眠というのは、勉強したり働くのと同じ位、

”積極的に行うべき行為なのだ”

と考えるようになった。

睡眠というのは、

ただただ何もしていない、意味のない時間ではなく、

積極的に記憶力を高め、体を修復する時間なのだ、

と考えるようになった。

こう考えるようになってから、自分は夜寝る前にウイスキーを飲むのを辞めた。

多くの人は昼間からウイスキーを飲むの事に対して抵抗があると思う。

酔っている状態では、勉強しようと思ってもはかどらないからだ。

しかし、

夜に飲んだ場合も、

本来であれば睡眠中に行われる記憶力の向上が損なわれる、

と考えると、非常にもったいない気がした。

睡眠時間を削り始めた中学生時代

”睡眠時間をいかに削るか”

ということを考え始めたのは、中学校に入学してからだったと思う。

私は、地方ではかなり有名な私立の中高一貫男子校に中学から入学したのだが、

当時は、”いかに勉強時間を多く確保して、テストで良い点数を取るか”

が自分の大きな関心の対象であった。

週末も含め部活をして、通学には往復で3時間位毎日かかっていた。

そして、一応は進学校であったため、テストで良い点数を取ろうと思ったら、

それなりに勉強する必要があった。

ただ中学時代の勉強というのは、少しがんばって暗記すれば高得点を取れるような内容が多い。

テスト前に睡眠時間を削って頭に詰め込めば、他の学生よりも良い点数が取れる。

これを繰り返すうちに、総合得点で学年3位にまで登りつめて、

1年間の学費免除というご褒美となって帰ってきた。

この

”睡眠を削ることによる、成功体験”

”睡眠時間は勉強ができない、削るべき時間”

と考え始めるきっかけだったのだと思う。

高校生時代

高校時代になると、睡眠時間を削るというライフスタイルに拍車がかかった。

平日はもちろん、週末や長期休暇はほぼ部活をしていたため、

勉強するとなると睡眠時間を削るしかなかった。

また、高校になると勉強する内容の難易度が中学時代とは比べ物にならず、

なおさら時間が必要となる。

高校生時代というのは元気が有り余っていたので、

一日5時間睡眠でもなんとかなってしまっていたのだが、

今考えると、やはり頭と体はいつも疲れていたのだと思う。

また、肌荒れもかなりした時期であった。

ニキビに関しては、思春期のホルモンの影響もかなりあったとは思うが、

この時期は皮膚科に行ってもなかなか良くならず、

結局多くのニキビ痕が今でも残ってしまっている。

ホルモンの影響はあるとは言え、

やはり体にはかなりストレスがかかっていた時期なのだと思う。

私の進んだ高校では、

睡眠時間を削ってでも、

テストで良い点数を取って、

偏差値の高い大学や、医学部に進学する生徒が優秀、

と言う雰囲気があった。

決して、

”沢山寝て、健康的な生活をする生徒が偉い”

という意見はなかったと思う。

この、睡眠時間を削る文化は、

大学の医学部に入学しても、

医師になっても、

変わることはなかった。

なぜ医師は睡眠を軽視するのか

そもそもなのだが、医学部では睡眠について詳しく勉強することはない。

もちろん、睡眠中の脳波を測定したり、脳波の種類を覚えたりはする。

そして、不眠症にたいして、どんな薬を処方するかも勉強する。

しかし、

睡眠が人体に及ぼす良い影響や、

睡眠不足が引き起こす悪影響については、

全くといって良いほど学ぶ機会がない。

その原因の一つと思うのが、

多くの病院において、

”いかに睡眠時間を削って働くか”

が美徳とされていることだと思う。

というのも、寝ている間は患者を診察することができないからだ。

そして、たとえ睡眠時間が足りなくても、”動く”ことだけはできる。

自分も研修医の時は、

いかに睡眠時間が少ない中で働けるかが、

自分の存在価値のように感じていた時期があった。

平日はもちろん、土日も日中はずっと入院患者の対応をしつつ、

毎日夜中の2時、3時頃に病院からケータイに連絡が入り、病院に戻って患者の診察をする。

それに加えて、3~4日毎に当直業務をしなければいけないというのが1か月近く続いた時期もあった。

担当患者さん20名近くのほぼ全員が終末期で、

週にお一人位のペースで担当した方がお亡くなりになる環境であったこと。

残念ながら人手が足りず、自分がやるしかなかったこと。

夜中も頻繁に疼痛コントロールが必要であったり、

急激に状態が悪くなり、突如処置が必要になることが度々あったこと。

こんな状態だったので、

自分の睡眠がどうこうと言う前に、

まずは動いて何とかしなければいけないという思いしかなかった。

この科はたった1か月しか担当しなかったが、

かなり多くのことを学ばせてもらったし、やり切った充実感があった。

しかし、体にかなりのストレスが溜まっていたのは確かだし、

何か月も同様の生活を続けることは無理だと思った。

”寝なくても死なないから大丈夫”という外科医

研修医で外科をローテート中の時の話。

回復術後間もないおばあちゃんから、

”毎日夜寝れなくて困っている”

と頻繁に訴えがあった。

一般的に使われる睡眠薬を処方しても、全く眠れないのだという。

もちろん、

病院の慣れないベッドや、

点滴の管などが気にはなるだろうが、

”眠たいのに全く寝れない日が何日も続く”

”薬を飲んでも全く寝れない”

という訴えもおかしいなと思っていた。

しかし、患者が訴える以上、何かしなければいけない。

困り果てて上司の外科医に相談したところ、その上司が患者さんに向けて放った一言が、

”寝なくても死なないんだし、大丈夫だから!”

だった。

薬を処方しても、部屋を個室にしても寝れない患者さんには、為す術がないのは確かだ。

だが、もう10年以上も医者をやっていても、睡眠に関してはこの程度の理解なのだ。

最近の生活

現在、私は美容皮膚科として勤務している。

なので、幸運にも、真夜中に突然ケータイに電話がかかって呼び出されることはない。

私も医師ではあるが、1人の人間でもある。

健康を維持するためには、しっかりと睡眠も必要だし、リラックスする時間も必要だ。

現在の職場に移ってから、”1人の人間としての生活”が保障されたと実感している。

もちろん、夜中に苦しんでいる人を診察したり、治療するというのは、社会にとって必ず必要だ。

しかし、患者を守るのと同様に、”医師という人間も守る”という考えもあっては良いのではないだろうか。

まとめ

  • 睡眠は健康にそして、良く生きるための最強のクスリ
  • ”寝れば治る”、は結構正しい
  • 睡眠について良く分かっている医師は少ない

参考文献

ABOUT ME
あき
あき
ハリーポッターの世界にあこがれた高校生が、大学時代と初期研修後にイギリスに留学。10年以上どうしたら英語が上達できるか考え続け、合計約3年間イギリスに滞在。ようやく自分なりの回答を見つけ、現在は次の海外進出に向けて準備中。美容皮膚科医。イギリス留学、英語について発信するのが何よりの楽しみ。